ドライアイ

ドライアイとは

ドライアイとは目の表面を保護する涙の量が低下するだけではなく、涙の質が低下することが原因でドライアイになります。また、涙の量や質の低下によって、眼の表面に傷がついてしまいます。日本でもドライアイに悩む方は増加傾向にあり、乾燥された室内とスマートフォンやパソコン等の情報端末画面の普及によって、極端にまばたきの回数が減っているのも原因です。まばたきは、目の表面全体に涙を行き渡らせるだけではなく、涙を分泌させる機能も持っています。まばたきの回数が減ると、ドライアイになりやすいとされています。

ドライアイの症状

ドライアイになると、目が乾いたからといってまばたきをしても目の乾きが余り解消されず、目が疲れやすく、かすみ目や異物感が気になる、視力が低下する等の症状が現れます。目の表面が乾燥していると傷つきやすく、そのまま放置することで角膜や結膜の炎症を引き起こします。さらに進行すると、角膜上皮剥離を起こす場合があります。
以下に、ドライアイの症状を挙げてみました。

  • 目が乾いた感じがする
  • 目やにが増える
  • 無意識に涙が出る
  • ゴロゴロと異物感がある
  • 目が充血している
  • 痒みや不快感がある
  • 目が疲れる、痛みがある
  • 目が重たい感じがする
  • 光が眩しい
  • かすんで見える、視力が低下した

ドライアイの原因

1エアコンの効いた部屋で長時間過ごす

エアコンの効いた部屋は、空気だけではなく目の乾燥を加速させます。

2スマートフォンやパソコン等どの情報端末画面を長時間見続ける

タブレット等の画面を見ているときは集中しているため、極端にまばたきの回数が減り、涙の量が減少します。

3睡眠不足等の不規則な生活

不規則な生活で睡眠が不足すると生理機能が乱れ、目が乾きやすくなります。

4長時間運転する

運転に集中すると、まばたきの回数が極端に減少します。さらに乾燥した車内では目も乾きやすいです。

5ホテルや飛行機を利用する機会が多い

ホテルや飛行機の中は非常に乾燥しているので注意が必要です。

6加齢

加齢によって涙の分泌量が減少します。高齢のドライアイ発症者は非常に多いとされています。

7コンタクトレンズ

コンタクトレンズは、涙を吸収、蒸発を促すためドライアイになりやすいとされています。

8花粉症

目にアレルギー症状が現れると、涙が流れ出て留めておけないようになるだけではなく、涙の成分が変化してしまいます。

9薬剤の副作用

精神安定剤や血圧下降剤の副作用でドライアイが起こる場合があります。

10病気の症状

自己免疫疾患として、膠原病やリウマチ、シェーグレン症候群、スティーブン・ジョンソン症候群等は、疾患の症状としてドライアイが現れる場合があります。

11屈折矯正手術の合併症

屈折矯正手術は角膜表面を切開するため、ドライアイの症状が一時的に悪化する場合があります。

ドライアイは眼科専門医の診断と治療が必要

ドライアイは、角膜表面に傷がつくため、感染症を引き起こす恐れがあります。市販薬でもドライアイ用の目薬が市販されていますが、専門医師による眼科検査を受けることをお薦めしています。正確な診断と適切な治療が非常に重要です。
さらに、ドライアイの症状が他の疾患が原因の場合があります。患者さんの状態に合った処方や点眼方法等、適した治療方法でなければ逆に症状を悪化させる可能性もあります。ドライアイは失明に至ることはほとんどありませんが、悪化することで生活や仕事に支障をきたす場合があるため、早めに受診し適切な治療を受けることが改善への近道です。

ドライアイの検査

1視力検査

目の健康状態、他の疾病の有無を調べる基本となる検査です。

2細隙灯顕微鏡検査

フルオレセインを点眼し、染色して表面の傷や角膜の状態を調べます。

3シルマー検査

目盛りのある専用試験紙を下まぶたの端に5分間挿入し、涙の量を測ります。涙の浸透量の距離が5㎜以下だと涙量の不足の可能性があります。点眼麻酔を使用した方法だと、試験紙による刺激の影響を避けられます。

4BUT検査

目を開いてから眼の表面の涙の膜が破壊されるまでの時間を測り、涙の質を調べます。フルオレセインを使い、5秒以下の場合は涙の質が低下している可能性があります。

ドライアイの治療

1点眼治療

涙の成分に近い水分を補給する人工涙液、水分を保つ効果のあるヒアルロン酸ナトリウムを含む角結膜上皮障害治療薬、ムチンや水分を分泌させる効果が期待できるジクアホソルナトリウム薬を使用して改善します。

点眼治療
点眼治療
点眼治療

2涙点プラグ

涙点プラグ

涙が排出される排出口を涙点と言い、この涙点にシリコン製のプラグ(栓)を挿入して、涙の排出を軽減します。涙の量を保てるようにし、自分の涙で眼を潤すことでドライアイを改善していきます。涙には、たんぱく質やビタミン等の重要な成分を含み、人口涙液では補うことができません。

マイボーム腺機能不全の治療

マイボーム腺機能不全の治療

マイボーム腺機能不全は、目の不快症状や疲れ、痛み、乾き、涙が出る、目やにが出ている感じがする等の不快症状があります。涙は、油層・水層・ムチン層に分かれ、涙液を蒸発しないように脂を分泌するのがマイボーム腺です。涙液を安定させるのに大切な機能です。このマイボーム腺の機能が低下すると、脂が変性し、濁ったり、黄色く固まった油がマイボーム腺出口に詰まってしまいます。マイボーム腺機能不全の治療方法には、温罨法とリッドハイジーンの2つの方法があります。

温罨法(おんあんぽう)

マイボーム腺に詰まった脂を溶かす治療方法です。目を温めてマイボーム腺の脂を溶かします。融点が28~32℃とされているので、市販の目元用温罨法用品で手軽に行えます。横になって目を5分間温めてリラックスします。1日朝と夜の2回行うと効果的で、温罨法を継続することでマイボーム腺機能不全を改善できます。

リッドハイジーン

まぶたを清潔に洗浄し、マイボーム腺脂質の排出を促します。先に温罨法を行うとより効果的です。炎症して固形化した皮質や角化組織を除去し、菌量を減少させる効果があります。

ドライアイ対策

まばたきが極端に減少するパソコンやスマートフォンの長時間の使用、車の長時間の運転、エアコンによる乾燥、コンタクトレンズの長期間の使用はドライアイの原因となるため、ライフスタイルや生活環境を改善することが症状の解消に繋がります。
目を極力休ませて、ドライアイのリスクを軽減することが大切です。

パソコン・スマートフォンの使用

意識的に、まばたきをする回数を増やします。また、目の乾燥を防ぐために、少し見下ろす位置から画面を見ることをお薦めしています。こまめに眼を休ませることも心がけましょう。

エアコン

エアコンと上手に付き合うことで眼の乾燥を防ぎます。エアコンの風が直接当たらないように気を付けたり、加湿器を併用する工夫が必要です。オフィスだけではなく、ホテルや飛行機等も注意しましょう。加湿器が使えない場所では、保湿用眼鏡を使用して目の乾燥を防ぎます。

コンタクトレンズ

自分にぴったりと合ったコンタクトレンズを使うことと、レンズの特性に合ったケアが大切です。また、ヒアルロン酸ナトリウム点眼薬、人工涙液点眼薬の使用や、眼鏡に移行する等も対策の一つです。

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